1: ばーど ★
2017/05/08(月) 10:37:00.10 ID:CAP_USER9
1980年代、二輪車は多くの若者にとって今よりも身近な存在だった。
多くの若者は16歳になるとバイクの免許を取り、排気量をステップアップしながら18歳を迎え、やがてクルマに乗り換える。それはごく普通の若者のライフスタイルだったのだ。
1985年の二輪車の保有台数は約1820万台。それが2015年には約1150万台へと激減している。
昨年のスズキの決算発表では、鈴木修会長が「二輪については耐えるしかない」と事実上打つ手なしのコメントがあった。
業界トップのホンダも事情は同じ、見通しは極めて暗い。なぜこんなことになったのだろうか?
●名車モンキーの生産終了
そしてこの夏、数多くの二輪車が生産中止になる。その中には、長年多くのユーザーに支持された名車も含まれているのだ。
例えば、ホンダ・モンキーは、アミューズメント施設「多摩テック」で子どもたちに「操る楽しさ」を感じてもらうため、1961年に作られたアトラクション用バイクに端を発し、
1967年に一般向けに発売されて以来、50年に渡って多くの人々に支持され、日本の二輪車文化の中で大きな役割を果たしてきた。
人気もあり、文化的にも重要なこのモンキーが生産終了になることを嘆く向きは多い。結論から言えば、それはついに50ccエンジンが、排ガス規制に対応できなくなったからだ。
四輪車は1960年代から排ガス規制が始まり、1976年(昭和51年)、1978年(昭和53年)に一気に規制値が厳しくなった。
メーカーの多大な努力によって、それを乗り越えてきた歴史がある。
ところが、二輪車は1999年(平成11年)規制まで、長きにわたって事実上規制の埒外(らちがい)に置かれてきた。
規制はあるにはあったが、2サイクルエンジンでもクリアできる程度の緩やかな規制だったのだ。
クルマに比べれば圧倒的に燃費が良い二輪車の場合、燃料消費量にひも付いて有害ガスの排出量が少なく、当然環境への影響も限定的なものと思われてきたことが大きいが、
小排気量から馬力を絞り出さなくてはならない二輪車の場合、排ガスをキレイにするのが難しかったのも事実である。
●遅れていた二輪車の排ガス規制
特に50cc以下(道路運送車両法では原付一種)という排気量はほとんど日本専用のガラパゴス商品で、世界的に見れば排気量の最下限は125cc以下(同じく原付二種)になっている。
現在二輪、四輪を問わず、排ガス規制は統一化に向かっており、世界の排ガス規制が「125ccでギリギリクリアできる」限界を狙って厳しくなれば、その半分以下の50ccで規制をクリアするのは難しい。
これまでたった50ccのエンジンが実用性を持ってこられた理由は2つある。
1999年(平成11年)の規制で、2サイクルエンジンが駆逐されて以降も四輪車の規制と比較すればまだ緩やかといえた。
1つは吸排気のバルブタイミングの問題だ。燃焼室の排気ガスをしっかり抜くことを掃気と言うが、掃気性能の向上のためには吸気バルブが開いた後も排気バルブを開け続けた方が良い。
燃焼後のガスをしっかり排出すれば、限られた燃焼室容積により多くの混合気を満たすことができる。
ただし、この方式には欠点があって、しっかり掃気しようと思えば、未燃焼の混合気が排気管に吹き抜けることと引き替えになる。
未燃焼混合気が吹き抜ければ、炭化水素(HC)が排出されてしまう。HCとは要するにガソリンのことだ。
もう1つ、空気と燃料の比率、つまり空燃比だ。排気ガスが最もキレイになるのは理論空燃比14.7:1(重量比)だ。
1グラム≒1ccのガソリンに対して、ざっくりと12リッターの空気と考えればいいだろう。もっとパワーが欲しい場合、この比率を濃くする。最もパワーが出る比率は12:1。
ところが、これだと理論値に対して空気が少ないので、燃え残りが発生し、一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)の排出が避けられない。
50ccという極端な小排気量エンジンが実用に足りていたのは、混合気の吹き抜けを許容するバルブタイミングとパワー空燃比によるところが大きかった。
2006年(平成18年)に厳しくなった規制によって、こういう無茶ができなくなった。
何しろ原付一種の場合、COで85%、HCで75%、窒素酸化物(NOx)50%という削減率である。「85%に落とす」のではなく「85%削減する」のだ。※続く
配信 5/8(月) 7:41配信
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